注:長文なのと専門的?な単語が出てくるのと 個人的な事なので、興味のない方はどうぞスルーして下さい。
事の始まりは昨年(2020)の秋頃・・
今から約17年くらい前に作った初のCD「光の中の影」のリマスター版を前々からそのうち作れたら と思ってはいたのだけど、2年前に完成したクラシック物の「スペイン~旅の思い出」のジャケットデザインをして頂いた方が ちょっと現生を離れてしまった為お願い出来なくなり、今回ジャケットデザインをして頂いた川村さんとのたわいもない話しの流れで・・リマスター版をそのうち作ろうと思っているんだけど ジャケット デザインしてくれる人がいなくてねぇ・・と話したら、私がやりますよ・・との返事☆
で、急遽リマスターに向け視界が開け、その音源は当初 約17年半前のレコーディングの時ミックスしてDATで渡された物があるので ・・これをマスターにしてCDをプレス出来るかな?・・と安易に考え、そのDATのテープを探したものの見つからず。。
当時 レコーディング&ミックス作業を終え、ミックスされたDATテープと共に・・もしミックスする事があったら・・という事で、録りっぱなしのDTRSのテープを4本渡されたのだが、これは(写真)レコーディング用の特殊なものなので、テープの中身を確認が出来ないのもあり、リミックスする事は多分ないだろう・・と 約17年間封筒に渡された時のまま開く事なくそのままになっていたのだが、まさかリミックスする事になるとは思わなかったので、そのDTRSテープ引っ張り出して来て、3年前にクラシック物のレコーディング行ったスタジオのエンジニアの方に リミックス作業のお願いの連絡を取り OKの返事を頂きました(^-^)
今はPCに直接音を記録するのが主流の様だけど、当時は今程PCの安定性か良くなかった為、途中で止まると困る・・というのでDTRSに記録し、詳しい事は憶えていないのだが、とにかくミキシングはPCを使ってでなく ミキシングコンソールでの作業だったように憶えています。
問題は、エンジニアの方に確認したら そのDTRS用のデッキがスタジオになく、どうしたものか・・と思っていたら、TEAC( https://tcs.teac.co.jp/dubbing )というダビング作業を行なっているところを見つけて頂き、早速連絡を取りダビング作業を手続き。
ここでひとつ勘違いが発生(⌒-⌒; )
4本あるテープの内2本にレコーディングメモが挟まれていたので・・この挟んであるテープは録音した物で、残り2本は ミックス済みの物かと思い(なにしろ中身が確認出来ないのでf^_^;)・・レコーディングメモが挟まっていた2本のテープを送る。
TEACでのダビング作業にはひと月ほどかかる・・との事で 約ひと月待ち、ダビング作業終了の連絡を受けたのだが、先方から・・
一本のテープには殆ど録音されていない
・・とのメールで、(・・?)と思いながらもスタジオにてダビングされた物を確認。
その“殆ど録音されていない”物には曲の一部が断片的に入っていて、もう一本の物には複数曲分録音されているけど 不完全な物で、エンジニアの方から・・他にメインで録音された物があるはず・・と言われてレコーディングメモを改めてよく見たら、送っていなかった残り2本のテープに 残りの音源があるであろう・・という事に!!
慌ててTEACに連絡を取り残りのテープを送り、この時TEACでは たまたま請け負っている作業が少なかったのもあり 前回より短い時間で送られて来てやっと全部そろい・・と、結局ミキシング作業を行ってもらえるようになるまで約ひと月半 という時間がかかる。
新たにダビング作業を行ってもらった物をスタジオで確認すると 残りの音源が揃っていて、やっとミキシングの作業へ♪
ミキシングの時 レコーディングメモが役に立ち、録音した曲のパーツがどこにあるのか 一眼で分かる様です。
ところで 音作りというかサウンドそのものについて・・
エンジニアの方から“好みのCD(フラメンコ系の)を教えて欲しい”と尋ねられたのだけど、当時聞いていたフラメンコギターのCD・・Paco・de・Lucia をはじめ 数々の名手のCDを、どちらかといえば サウンドよりどういう音出しているのか?とかどういう弾き方をしているのか?等 演奏の方に耳が行っていたので、音作りに関してはギターだと こんな感じの音が普通なのか?と思っていて、ジャンルは違うけどピンク・フロイドの音の良さに定評のある「狂気」や「ザ・ウォール」といったものから比べれば、随分素朴なサウンド。(もっとも“狂気」や「ザ・ウォール」は1970年代の物なので、今の方がより良い音の物があると思うのだが、残念ながら知らずσ^_^;)
なもんで、サウンド的にこれは素晴らしい・・というのが無く、強いてあげればRafael Riqueniの「Mi Tiempo」で、当時は曲の感じが好みだったのと、良い音してるなぁ・・と良く聞いていたのだが、これは以前 クラシックのCDをスタジオでレコーディング前に参考音源として聞いてもらっていたので、これ以外に・・というのだけど、特に思い付くのがなく、とりあえず柔らかめの音で・・とざっくりとした希望の返信になってしまった^_^;
スタジオでそのミキシングした音を確認すると 確かに柔らかめの音で、こちらとしてはありがたい。
因みに、録音されている原音を聞かせてもらったが凄く粗く、ミキシングの作業ってすごいんだなぁと実感。
初回盤のミキシングが 先に書いたように約17年半くらい前の事で 初めてのレコーディング&CD制作だったのもあり、ミキシングの作業がどういうものか良く分かっていなかったのもあるのだが、音に対する感覚が前述の様な感じだったのと、また当時は キング・クリムソンの「太陽と戦慄」・・一部を除いて殆どエフェクトがかかっていない感じで スタジオ感全開のサウンド・・を好んで聞いていたのもあり、それらの影響もあって なるべく生の音に近いものが好みだった為、エフェクトは控えめで、生の音に近い音作りをしてもらい・・ギターの音はレコーディングの休憩時間中にミックスして これでOKとしたので、録りっぱなしな感じの音で、楽器の配置もあまり広くない配置にしてもらいました。
あれから時間が経ったのもあり 音に対する感覚も変わり、空間系のエフェクトを各楽器に前回より多くかけて(「水平線の彼方」は 楽器が多いので余りかけず)各楽器を前回より広く配置してバランスを取り、それぞれの楽器がクリアに聞こえる様なミックスに。
エンジニアの方は、ビセンテ・アミーゴの最新作のミックスを・・相当良いエンジニアが付いているんだろうなぁ・・と お気に入りの様で、この音作りをお手本にしているとの事。
確かに今になって聞けば 、前のミックスでは少々団子状になっているなぁ(^-^;
今回 楽器の配置を広くしたので埋もれていた音も出てきて・・というか、家のオーディオシステム(と言えるような物でもなく^_^;)がショボいのもあって、トラック3の「坂の途中」にレクが入っていたのに やっと気が付く・・というあり様。
楽器が多くなるとバランスが結構難しく、どこかの楽器の音を絞るとパーカッションが変に目立って、パーカッションを絞ると他の楽器のバランスが・・と、何気に大変。
バランスの取り方を目の当たりにして、こうすると沈んでいた楽器の音が浮び上るのか なるほどなぁ・・と勉強になりました。
それと 厄介だったのが、当時 録音がブースに分かれているのでなく、やや広めのスタジオにパーテションを置き、アンサンブル物はお互いの顔が見える様にして ライブ感覚で録った為、ギターのマイクに様々な楽器の音が入り込んでいて、これが今回音作りにおいてネックとなり、エフェクトを効かすと妙に変な響きになり・・という感じで、エンジニア泣かせな状態でしたが、処理を上手くやって頂きました☆
また、トラック5「水平線の彼方」を今回改めて聞き、PCによる波形編集なので 少しだけどいらない部分をカット・・上手く繋げてもらいました。
ライブではあった方が良いのが CD作品ではなくても良い・・という事を知りましたね。(そういえば、昔のレコードで・・この曲 ライブ演奏でどう再現するのかなぁ?という曲がいくつもあったなぁ)
それと トラック3「坂の途中」の冒頭、今回それぞれのパートを個別で編集出来るので、前回はなかったパーカッションによる導入を付ける・・と こちらも少変更。
トラック6「アンダルシア幻想曲」に入っているネイを遠くで鳴っている感じに・・とリクエストしたら、一番残響のある音で左右に広げてもらったら、かなり面白い事になり、これもCD作品ならではのお遊び
(余談だが、エンジニアの方・・この「アンダルシア幻想曲」を どう展開して行くのか分からなくて面白い・・と気に入っていただけました)
ミキシング作業と直接関係はないのだけど、約18年くらい前の このCDを録音しよとした当時、良く一緒にやって頂いた 日本のフラメンコ界で知らない人がいない・・と言っても過言でなかった 加藤直敬さんこと「かとうなおじろう」さんと、なおじろうさんのお友達の「Tomoあらまき」さん。
お二人ともその後 早々とこの世から旅立ってしまっているのだが、今回のミックスで各楽器の音を確認作業の時、10数年ぶりにお二方の音を耳にし、お~・・このカホン なおさんの音だ ♭とか、あらまきさんのフルート 久しぶり~(´-`)と、懐かしいのと共になんとも複雑な心境(・・;)
今となっては、貴重な記録となってしまった。。
音楽をサウンド作りの視点で、改めてエンジニアの方のお気に入りのビセンテ・アミーゴの曲を改めて聞くと、なるほど・・と 目から鱗な部分が多く、サウンド作り という視点で他のフラメンコのCDや他のジャンルのCDの新たな聞き方が出来ましたね♪
これまでは、曲をライブ演奏出来る様にとアレンジしていたのだけど、エンジニアの方にいろいろ教えて頂き、レコーディング というかCDとしての作品は、ライブとはちょっと別・・という感じ。
この辺は今後、CDとかレコーディングして曲を形にする際 とても参考というか勉強になりました(^-^)